2019-01-01から1年間の記事一覧

十二月二十五日

エトセトラとエトセトラ 人間の頭がどんどん冷やされて 反比例して過剰に生きてゆく僕ら キラキラを身に纏っているだけで 幸福をかみしめていたはずなのに 隣で、隣の隣で、 流れ星か怪盗にでもなっている気分 恋人とか友達とかは幻覚あるいはまぼろし 確か…

AとBと君と僕

いつまでも途切れることのない ずれたエイトビート さながら僕たちの象徴 テンポキープが得意だった いつまでも交わらず重ならず 追い越さず追い越されず 美しいメロディが隣で駆け抜ける 競争を、していたのはいつだっけ 形容しがたい感情が 言葉にならずに…

慎重に塗った爪などつゆ知らず午前三時に指を絡める

君が流れ星を探して夜空を眺めるとき 僕は暗がりに溶けるつま先ばかり見ていた 慎重に塗った指先の色は赤 自分のための赤が君のための赤に変わるとき 僕の足元は海月とともにたゆたっている そんなことにも気づかない君に 繋いでほしいのは指じゃなくてから…

惰性

義務感のみで水を飲む時、人間は一時停止。 煙草なんてあってもなくてもよかった。 酸素を吸うついで。その時君のことは一ミリも 頭をよぎることがないからどうか安心してほしい。 余計な言葉をいくつ交わしたところで 僕も君も交わらないのなんて百も承知だ…

せいかつの祈り

冬の記憶が鼻先を掠めたから冬 君のことばかり考えているふりばかり、冬 強力なお守りは言葉 君のカナリヤになりたくて なれなかった僕だけど 心の臓まで貫いて どうか離さないでいてほしい 「生きていてもいいよ」って 何度も舌の上で転がしたっけ いつまで…

煮るなり焼くなり

今週のお題「いい肉」 煮るなり焼くなり好きにして、 と身を任せたのはわたしだけど まさか放置されるなんて思わないじゃない そうして迎える四度目の冬も佳境 わたし、欲情したのはわたしだった 幻のわたしと君と、 「愛を統一しなかった神様の失敗だよ」 …

エンドロールの向こう側

音のない喝采にいつまでも耳をすませては めでたしめでたし、の先を探している 繋ぎ止めた指先はどこへも行けないてのひらの中 真夜中君と歩いた渋谷センター街だけが 紛れなく世界の本物だったよ 朝の中に消滅した夜を探す明け方 喫煙所の横顔は月より綺麗…

続・ロマンス詩

星みたく飛行機が飛ぶ明け方 厚底スニーカーとかぎなれた匂い 無理やり終わらせた煙草 火の粉が花火の終わりみたいだった ここには思い出がひしめき合っていて だから空ばかり見ている 座ることを想定されていない窓枠に 腰掛けて煙草をふかすとき 僕は宇宙…

眼差し

血走った眼差しに持てる限りの信頼を 余裕がないから嘘じゃない 嘘じゃないから信頼できる 穏やかな目には注意して 第六感が告げている 注意していることすらも バレないように穏やかに 貴方も視線を返すのよ 可愛い瞳には興味のあるフリを 世間の憧れ上目遣…

断片綺譚

早朝、図書館は亡霊であふれている。 借りたい本は静かにそーっと抜き取ってね。 くもり空が湿度を上げていく おみくじがつげる運勢 [お気に入りはカバンの底にしまうが吉。] 雨が降る、教室の窓の外 まるで水槽の中にいるみたいな僕ら 「下校時間を過ぎて…

夏の白昼夢

お題「思い出の味」 思い出の味、と聞くと あなたは何を思い浮かべるのでしょう 私はおそらく 雨上がりに飲んだ あのレモネード 一択なのです。 高校生活も半ば、17歳の私も変わらず私であったに違いありません。 忘れることのないあの日は、テストのために…

秋と生命

空気の中にひんやりが ひっそりと溶け込んでいる 秋だから、秋だからね 足取りが軽くなるセール 開催中ですよろしくどうぞ 歩くの楽しい 月が綺麗で君が好き 秋だから、秋だからね 月に叢雲花に風 雨降る夜もるんたった 秋だから、秋だからね 季節の変わり目…

口づけとともに

さよならから一番遠い場所で待ち合わせをしたかった めまぐるしくて楽しかったよ 時はいつの日にも親切な友達で 思い出はいつも綺麗 一日、いや一秒が過ぎるたび 僕らは少しずつしんで、新しくなる そんな当たり前のことに気づけなかった 悲しみや寂しさや愛…

タイトル「将来の夢」

真夜中のベランダは海の底 空を泳ぐ魚に焦がれているくせ 指をくわえて羨ましがるだけ 手すりにざらりと残る塩も 声を揃えて笑います せーの、で笑おう は、は、は 行き場のない感情が身体に停滞 [破裂したら自由になることができます] 美しい風船よろしく…

夏と記憶

早朝は亡霊の住処 消滅しそびれた亡霊であふれている 生ぬるい風が吹く 1日の中で唯一無二 神様がゆるした風なので わたしも仕方ないからゆるしてあげる 髪を結んで開いて結んでは 亡霊にいりまじる時 わたしはわたしの形をしている 手のひらより小さい炎が…

浜辺の詩

ぼんやりとした雲に覆われる光 世界が終わったみたいな場所で うごめく海だけが唯一生き残った生命体 足の裏、暖かい砂の感触と目の前の生き物だけ 確信が持てる気がする午後は幻 左手にさげたローファーと右手のiPhone コンクリートにおいてきたフラペチー…

東京シティ[夜の部]

美しい夜が幾重にも重なる東京シティ 躓くなんてナンセンス 小石を拾ってステップ踏んで ワン、ツー 幕開け夜は盛り 東京わたしは水の底 水面近くに浮かぶ月 ゆらぐ きらめき きらめくは 星の代打、ビル群です みんなで星座を作ろうよ 言葉と夜風ときらめき…

星になり損ねて今世は仕方なく貴方の隣に人として居る

じんわりじっとりした夜に 肩を並べるn回目 並んでお酒を飲んだって 並んで歌って話しても その距離、永遠!と観測されました 断片的星座のごとく交わされる言葉 宇宙に散らばった残骸みたいな会話 ”居心地悪そう”の解を求めて 本屋にはびこるお化けになる日…

#tanka2

住む予定のないアパート見たりしてそこでの春に想いを馳せる。生きたくも死にたくもなるぬるい夜これこそが春わたしの好きな死なずして貴方の記憶に留まれるのであればどれ程よかったかもう二度と会えない距離でいたかった会えば捨てそびれる恋心吸い殻の消…

世界詩

何もかもを理解する日は来ない 雨が降ったり晴れたりして 音楽が生まれては消えていく 記憶はいくつものエトセトラ 結びつかなければゼロに等しい 百年後、僕らはもうこの世界にはいない 永遠なんてないから愛しい僕らの命 美しい何もかもは消えてゆくから美…

五十音の別れの詩

会いたくて会えないままで眠れずに 幾度となく寝返りする 後ろめたさが包み込み エンドロールは終わらない おかしくって笑っちゃう 雷さまがご登場 気分屋だから気をつけて クラスメイトのざわめきも 結構遠くに聞こえるな このまま消えてしまうかも さかな…

天国で待ち合わせ

さみしさを世界中から集めたらきっと素敵な花束ができる でもさみしさのない世界なんて超退屈だからやめよ 陽気な貴方は夏なので冬に生きる君は美しい いつも見えてるわたしがわたしだと思ったら大間違いです 隙間の時間も大切になんて言うから丁寧に暇を潰…

ご機嫌日記

待ち合わせは結局一時間半遅れ 電車の中で飲んでいたカフェラテが こぼれ て た ぽたり まる 三マス戻って一回休みたい気持ち を、抑えてポケットティッシュを 鞄から取り出して 「女子力高い〜」 なんてふざけた君のセリフがフラッシュバック そんなことよ…

#tanka

唇の色は紅葉か愛情か嘘か、 どれだと君は思う? 売ります! 「冷え込んで吐く息も白む 長夜を過ごす100の方法」 ちょいとそこ、通りがかったお嬢さん 「いしや〜きいも♪」おひとついかが? さみしさに負ける女は好きじゃない けれどさみしくなったらおいで …