口づけとともに

 

さよならから一番遠い場所で待ち合わせをしたかった

めまぐるしくて楽しかったよ

時はいつの日にも親切な友達で

思い出はいつも綺麗

一日、いや一秒が過ぎるたび

僕らは少しずつしんで、新しくなる

そんな当たり前のことに気づけなかった

悲しみや寂しさや愛や恋に実体はないくせ

昔から僕らは歌や言葉なんかで

手探りに輪郭を確かめ合っている

悲しみや寂しさに色があるなら

朝が明ける前、一番冷たい淡い青

恋や愛に色があるなら冬の夕暮れ淡い赤

実体がないものを毎日同じものなんてない

空に例えるなんて君はばかだなあ

今日と同じ日なんて二度と来なくていい

ツマラナイや退屈を嫌うくせ、

変化が怖いだなんてとんだわがまま

感傷に浸ることが多くなったから

大人になることができました?

 

失ってから初めて気づくなんて

使い古された言葉を口にする

使い古したわたしの口でさらに使い古すのです

言葉は移り変わってゆくものだから

わたしの嫌いもいつかは愛に変わる

わたしの好きも、嫌いに変わる

気持ちをzip.ファイルで保存したい

世紀の発明!!人気殺到

変わらないものなど何の面白みもないのにね

 

少しずつ死んでいく君もわたしも世界も

死んでゆくから面白くて楽しいこと、

君は知らないから可愛くて仕方ない