エンドロールの向こう側

 

音のない喝采にいつまでも耳をすませては

めでたしめでたし、の先を探している

繋ぎ止めた指先はどこへも行けないてのひらの中

真夜中君と歩いた渋谷センター街だけが

紛れなく世界の本物だったよ

朝の中に消滅した夜を探す明け方

喫煙所の横顔は月より綺麗で月みたく遠い

「南へバカンスしに行こうよ」

北に行くときはひとりだと決めているもの

フィルムカメラで切り取った記憶は

インスタントな思い出に早変わり

そうやってわたしも君も思い出にして行こうね

いつかの子どもがいつかの私たちに出会ったら

その時がハッピーエンドだよ

暗闇の途中で前を横切るもう二度と出会わない

人間の幸福を祈る五時間目

聞こえるはずのない喝采を浴びて

席を立ったら始まりの合図

さあ、準備はできた?