浜辺の詩

 

ぼんやりとした雲に覆われる光

世界が終わったみたいな場所で

うごめく海だけが唯一生き残った生命体

足の裏、暖かい砂の感触と目の前の生き物だけ

確信が持てる気がする午後は幻

 

左手にさげたローファーと右手のiPhone

コンクリートにおいてきたフラペチーノの容器

世界とわたしの繋がりだった

 

瞬く間に僕は真夜中にとらわれる

もう二度と来ない朝を想って泣いたこと

わかった気分のわからず屋、君がすきだった

散らばって不確定な存在の僕を

細々と繋ぎとめている

前世はきっと鳥だった

と言ったら鼻で笑うんでしょう君、

の鼻を鳥になって啄ばんで

喰いちぎってしまえば解決

 

不確定な僕の不確定な思考

は、存在も不確定なのでノープロブレム 

漣は泣き声だった

波にさらわれゆくものと

浜辺に打ち上げられるもの

今生の別れの哀しくて美しい泣き声だった

 

世界の秘密の一つだよ

海が僕に告げた時

わたしの存在は確かなものへと変わり

唯一生き残りだったはずの海は

ただの液体へとほどけていった。