慎重に塗った爪などつゆ知らず午前三時に指を絡める

 

君が流れ星を探して夜空を眺めるとき 

僕は暗がりに溶けるつま先ばかり見ていた

慎重に塗った指先の色は赤

自分のための赤が君のための赤に変わるとき

僕の足元は海月とともにたゆたっている

そんなことにも気づかない君に

繋いでほしいのは指じゃなくてからだだった

存在が不確かだからハイヒールと月面でステップを

その瞬間だけが僕を人間たらしめていた

人間かどうかわからない僕の隣で

隣にいるのかもよくわからない僕をおいて

君の心は宇宙に在る 

月面に取り残されて一人ぼっちの僕を

流れ星が追い抜いていく

午前三時は、ひどく静かだ