2018-01-01から1年間の記事一覧

師走の詩

真夜中に煙草に火をつける 吐き出した煙がいつまでも白いから、冬 ロマンチックなフィクションがあふれるこの世界 に、ロマンチックは一つもありません わかりやすいものばかり求めては どんどん鈍っていく君はかわいい 煙は貴方の記憶をみせるけど 貴方の世…

十月の詩

温度が数度下がっただけで夏は息をひそめた まだ夏に別れも告げぬまま まだ夏を満喫しないまま まだ夏のせいにしたこと、謝ってないまま 温度が数度下がっただけで、秋 風に散ったオレンジの香り 季節の変わり目に心が動かなくなったから大人 大人になんてな…

忘れ物

いっそ関わりなんてない方がよかった 一点の交わりもない完璧な平行線上 僕らはいつも何かにとらわれていて 形のない正解を当てようと躍起になっている 手さぐりでたどるぼやけた輪郭は 次の瞬間には形を変えて いつまでも終わらないかけっこ ▽つづきのつづ…

一人遊び

「飛び跳ねる雨粒みたいな 君の笑い声が好き」 という君が好き 好きは目に見えないから 透明に違いないわと予想する深夜 透明になったつもりでビニル傘越しに 貴方をこっそり見つめる 拝啓 雨の神様 風邪などひかぬよう 傘を贈ります 敬具 風邪をひいたので…

絵空事

小さなバッグにリップをしのばせて お気に入りのワンピースで、 真夜中の海が見たかっただけ そう言ったら君はなんて言うかな きっと興味のなさそうな 笑顔を見せてくれるんだろうな 真夜中の海に取り憑かれたように わたしの頭にはさざ波が寄せては返す 海…

東京

一、東京 東京に来てからもうまる二年が経とうとしている 地元広島よりもはやいスピードで走る山手線、 慣れない構内アナウンス「JR東日本」、 たくさんの人が行き交う渋谷のスクランブル交差点、 恐れていた新宿での待ち合わせ、 あふれているおしゃれなカ…

断片日記

『この雑誌ください』 本屋ではなくコンビニで雑誌を買うのは二回目で いつもプリンとかスナック菓子を買ってるから 雑誌を買うのはちょっと変な感じだった 裏側に向けて置いた時、裏表紙が好きだと思った * * * 五分に一回は液晶画面を見ている 無言の圧…