2020-01-01から1年間の記事一覧

ひびずれてゆく痛みについて

どこを見渡してもチープな言葉ばかり 辟易としてしまうなあ世界 丁寧にざっくばらんに巻かれた毛先5センチの 傷んだ髪の毛みたいなものだ、いまのわたし それかまふゆだからと剥げかけ爪先のネイル を、見えないんだからと切り捨てた 切り捨てられたものたち…

羽虫と月

わたしが愛したのはそのひとだったのか、 才能だったのかを考えている。強い光に惹 かれる小さな羽虫だ、わたしは。 「愛が才能に惹き寄せられるのは恋でなくて、 そのひとそのものに惹き寄せられるのが恋だ として先輩が言っていた通りだったとして、 その…

信仰を葬る前に

変わらないものが存在しないことを 嘆いたわたしもまたいともたやすく 変わってしまう存在であることを嘆 くまよなか午前2時。敬愛し信仰対象 だったはずのひとや過去のわたしを すくってくれた子の言葉が届かなく なってしまったことかなしくてさみ しくて…

愛について

涼しい風が吹いた 夏が消えて あの子も消えて わたしは1人になった いつのまにかメロディも消え 静寂に取り残される夜の街の一人歩き 愛以外いらない 愛しかいらなかった いくら探しても見つからない 世界のどこにもいない貴方に 恋い焦がれている 瞬きの隙…

拝啓神様

使い古された言葉に夕陽が差し込んで綺麗だった。ノスタルジー。エモーショナル。風が吹き抜けてカーテンが揺らされたとききっとあの教室のカーテンも同じように揺れている。チリンチリンと鳴る音が、どこからなのかなんの音なのかわからないまま、わからな…

希望的な詩

確かに自分がその場にいたということ 時間が経つほど信じられなくなっていく 僕ら人間は忘れっぽくて感傷的で可愛い 時間は不可逆だから記憶は美しいのだし 音楽は最高なものになっていくんだよね もう遠い日々だって確かに在ってそして その中にわたしも確…

境界線

たいくつをひきのばしたみたいな春の日 想い出ばかり美しくなっていくけれど わたしは美しくなれないまま 桜は今年も綺麗を更新する 散ってしまえば見向きもしなくなる ような貴方であればよかったな ブラウスの隙間から滑り込む風が夏だから 数週間後に季節…

生きて

六月は神様に近い月 雨粒には神様が潜んでいて 誰かの手を引っ張って そのくせ月はいつだって遠かった 表面をほうきとちりとりで ちょっとだけいただいて わたしの爪に塗ったら キラキラして可愛くて だから生きていけるような気がするけど、どう? 可愛かっ…

断片破片

痛いくらいの冷気が人間を殺していく。冬。何度もリピートする世界のプレイリストは美しくて隙がない。神様も信じちゃうくらいの、だ。かくいうわけで冬が今年も繰り返されている訳だけど、君はいまどこを生きていますか。ネイルのはげかけた爪の色がピンク…