拝啓神様

使い古された言葉に夕陽が差し込んで綺麗だった。
ノスタルジー。エモーショナル。
風が吹き抜けてカーテンが揺らされたとき
きっとあの教室のカーテンも同じように揺れている。
チリンチリンと鳴る音が、どこからなのか
なんの音なのかわからないまま、わからないまま
この街を去ろうとしている。
夕陽。夕陽はオレンジだと言ったのは誰だったか。
言葉に光が当たって、使い古されなかった言葉の
ことをわたし、考えている。
口ずさむ、書きつけられる、怒鳴る、呟く、叫ぶ、
なぞる、打ち込む、脳裏に、思い起こす。
じんわりとあたたかいひかり。
使い古されなかった言葉も
使い古された言葉と同じくらい美しかったに違いない。
窓際はわたしと世界を繋ぐ境界線だった。
神様、世界でまっさらな言葉は、なんですか。