信仰を葬る前に

 

 変わらないものが存在しないことを

 嘆いたわたしもまたいともたやすく

 変わってしまう存在であることを嘆

 くまよなか午前2時。敬愛し信仰対象

 だったはずのひとや過去のわたしを

 すくってくれた子の言葉が届かなく

 なってしまったことかなしくてさみ

 しくて散り散りになっている。言葉。

 何もかもが投影されるようでそんなこと

 ひとつもないのかもしれなかった、でも

 そうしたら君やわたしの信じた何もかも

 崩れ去ってゆくのだと思う。むしろ、

 そうあってほしいのかもしれないな。

 こんな気持ちになるくらいなら信仰する

 べきではなかったなどというありきたり

 な感情も、それでもすくわれた事実は

 いつまでも存在しているのだから致し方

 なかった。世界は在るべくして在る。

 君もわたしも。

 

 ただいまは、すこしのかなしみとさみ

 しさに目を瞑れないまま、夜をふかし

 ている。