口づけとともに

 

さよならから一番遠い場所で待ち合わせをしたかった

めまぐるしくて楽しかったよ

時はいつの日にも親切な友達で

思い出はいつも綺麗

一日、いや一秒が過ぎるたび

僕らは少しずつしんで、新しくなる

そんな当たり前のことに気づけなかった

悲しみや寂しさや愛や恋に実体はないくせ

昔から僕らは歌や言葉なんかで

手探りに輪郭を確かめ合っている

悲しみや寂しさに色があるなら

朝が明ける前、一番冷たい淡い青

恋や愛に色があるなら冬の夕暮れ淡い赤

実体がないものを毎日同じものなんてない

空に例えるなんて君はばかだなあ

今日と同じ日なんて二度と来なくていい

ツマラナイや退屈を嫌うくせ、

変化が怖いだなんてとんだわがまま

感傷に浸ることが多くなったから

大人になることができました?

 

失ってから初めて気づくなんて

使い古された言葉を口にする

使い古したわたしの口でさらに使い古すのです

言葉は移り変わってゆくものだから

わたしの嫌いもいつかは愛に変わる

わたしの好きも、嫌いに変わる

気持ちをzip.ファイルで保存したい

世紀の発明!!人気殺到

変わらないものなど何の面白みもないのにね

 

少しずつ死んでいく君もわたしも世界も

死んでゆくから面白くて楽しいこと、

君は知らないから可愛くて仕方ない

 

 

  

タイトル「将来の夢」

 

真夜中のベランダは海の底

空を泳ぐ魚に焦がれているくせ

指をくわえて羨ましがるだけ

手すりにざらりと残る塩も

声を揃えて笑います

 

せーの、で笑おう は、は、は

 

行き場のない感情が身体に停滞

[破裂したら自由になることができます]

美しい風船よろしく完成されちゃったわたし

空にかざして絶妙シャッター

切れたらいんすたアップ

破裂して君の目の前から

瞬いて消えたい彗星の如く

 

まどろんだひるさがりのごごさんじ

わたしと酷似しているから彗星とは程遠い

指先ではじきだしたいしたいしたい

そうしたらりんご飴も卒業して

君の隣を歩けるでしょうか

時計の針がまわりすぎている世界だよ

日々生きづらさを更新してめくるページ

明日は何を読みましょう

綺麗な硝子細工のように

可愛いマスコットのように

その程度の貴方だから愛してやみません

手を替え品を替え言葉を尽くしたわたしに

残るのはなにもかもなくしたわたしだと

気づいた時には真っ黒な空洞が

埋め尽くしているのです

空洞なのに埋め尽くすという言葉

使うのは変ですか?

 

ぬるい空気に包まれて

いつまでもこの場にとどまっていたかった

「この場」が変化していること、

気づいてないと嘘をついたので

泥棒稼業のスタート宜しく

お気に入りの手ぬぐいでも被れば「完璧〜!」

 今世の続きは美しいものだけ盗んで敷き詰めて

あっという間に駆け抜けてパタンと終わることにする。

 

 

夏と記憶

 

早朝は亡霊の住処

消滅しそびれた亡霊であふれている

生ぬるい風が吹く

1日の中で唯一無二

神様がゆるした風なので

わたしも仕方ないからゆるしてあげる

髪を結んで開いて結んでは

亡霊にいりまじる時

わたしはわたしの形をしている

手のひらより小さい炎がゆれるとき

風がわたしの前にいた

指を舐めて風向きしらべ

知らない記憶を思い出す夏休み

蒸発しては消滅する季節

▽セーブデータは残っていません

暑さばかり更新するけれど

記憶がないまま今年も進む

から、大丈夫だよ

 

思いばかり馳せる夏

目の前通り過ぎゆくエトセトラ、に

目をつぶって指先でつつくばかりのわたし

どうかゆるしてほしい、夏

 

自転車二人乗りして向かうタワレコ

すれ違う先生に怒られて

「ごめんなさーい」と街並みが

ぐんぐん遠ざか、る、放課後

クーラーの効いた教室で読む小説

窓枠、ファインダーをかざしたみたいだった

 

教室の蛍光灯より明るい夏

フラペチーノと片想いに夢中

ニ度と戻れない、戻らないぼくら

脳内トリップが得意、人間だもの

すり切れて美しく淘汰される記憶

「レコードと同じ、これが味よ」

ままが言ってたわ

 

愛を込めて、夏。 

今年も宜しくさようなら

 

  

 

浜辺の詩

 

ぼんやりとした雲に覆われる光

世界が終わったみたいな場所で

うごめく海だけが唯一生き残った生命体

足の裏、暖かい砂の感触と目の前の生き物だけ

確信が持てる気がする午後は幻

 

左手にさげたローファーと右手のiPhone

コンクリートにおいてきたフラペチーノの容器

世界とわたしの繋がりだった

 

瞬く間に僕は真夜中にとらわれる

もう二度と来ない朝を想って泣いたこと

わかった気分のわからず屋、君がすきだった

散らばって不確定な存在の僕を

細々と繋ぎとめている

前世はきっと鳥だった

と言ったら鼻で笑うんでしょう君、

の鼻を鳥になって啄ばんで

喰いちぎってしまえば解決

 

不確定な僕の不確定な思考

は、存在も不確定なのでノープロブレム 

漣は泣き声だった

波にさらわれゆくものと

浜辺に打ち上げられるもの

今生の別れの哀しくて美しい泣き声だった

 

世界の秘密の一つだよ

海が僕に告げた時

わたしの存在は確かなものへと変わり

唯一生き残りだったはずの海は

ただの液体へとほどけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京シティ[夜の部]

 

美しい夜が幾重にも重なる東京シティ

躓くなんてナンセンス

小石を拾ってステップ踏んで

ワン、ツー 幕開け夜は盛り

 

東京わたしは水の底

水面近くに浮かぶ月

ゆらぐ きらめき きらめくは

星の代打、ビル群です

 

みんなで星座を作ろうよ

言葉と夜風ときらめきと

誰もとまらぬこの指とまれ

 

仕方ないのでひとり遊び、奮闘中

塗りつぶされたスクリーンの下にて

サンドイッチの具みたいに並んだハッピー 

 

僕たち人間 人間だから 

全ては映画のワンシーン

キラキラした宝石箱のど真ん中

讃えることしかできない僕の君との記憶は

どこを抜いても映画になるって君は知っている

 

美しい夜が幾重にも重なる東京シティ

これだから君のこと、嫌いになれないまま

 

東京シティ[夜の部]これにて閉幕〜!

 

 

 

星になり損ねて今世は仕方なく貴方の隣に人として居る

 

じんわりじっとりした夜に

肩を並べるn回目

並んでお酒を飲んだって

並んで歌って話しても

その距離、永遠!と観測されました

断片的星座のごとく交わされる言葉

宇宙に散らばった残骸みたいな会話

”居心地悪そう”の解を求めて

本屋にはびこるお化けになる日

「永遠」を埋められないままでいる僕ら

訂正、わたしです

 

永遠かけてもたどり着きそうにもない

星になりたいそうしたら永遠に近づける?

流れ星が消えないうちに三回ね、

声にするのだと神様が言っていた

お願い事の作法です

 

星になりたい、星になりたい、ほし、

消えてしまったので当分人間をやる他ないらしい

仕方ないない、致し方ない

記憶を懐古するなんて人間の悪いくせ

おかげでわたしの人生地獄なの

 

「君は幸福そうだね」

君もまた、幸福にいることを知らずして

足元は暗くて見えない僕ら、に

似ている海の近くのあいつ

 

来世は灯台になるかもしれません

メイビー冗談怒んないでよ

 

 

 

飽きるほどいろんな女と花を見る

貴方と桜は一生見ない [夏編] 

 

 

 

 

 

 

 

#tanka2

 


住む予定のないアパート見たりして
そこでの春に想いを馳せる。

生きたくも
死にたくもなる
ぬるい夜
これこそが春
わたしの好きな

死なずして貴方の記憶に留まれる
のであればどれ程よかったか

もう二度と会えない距離でいたかった
会えば捨てそびれる恋心

吸い殻の消え損ないが燃えている
最後の恋を燃やすみたいに

飽きるほどいろんな女と花を見る
貴方と桜は一生見ない

哀しみを集めた花束あげたとて
君は知らずに枯らすのでしょう

なりふりを構ってられない恋ならば
いい思い出になっていたのに

五月にてめまいがするほど暑い夏
八月になれば消える運命

電線で分断された満月の半分でさえ綺麗と言えず

散らばった吸い殻みたい
あなたが見て見ぬ振りする
わたしの気持ち

コートを一枚ぬぐたび軽くなる足取り
今日は散歩に行こう

眠れない夜にジムノペディ聴く
君のおかげで眠れない夜

切り取った世界が似ていたから
きっと気が合う僕ら
多分メイビー

雨粒でぼやけた街灯まんまるで
月が並んだ帰りの夜道

笹の葉の窓があるのでエブリデイ
願いあふれるやさしいお家

願わくば枕になりたい
変わるたび眠れなくなる
君の枕に

あっ、ちょっと、
毛布をとられて冷えた手で
君のほっぺたやさしくつねる

信号が赤になったら
サヨナラを告げるんだ
青、青、あお、
あ、赤

指先で、はりついた前髪をすくう
みたいな距離でいたい君と。

一瞥もくれてやらない
「かわいい」とたやすく言えぬ関係につき

「かわいい」と言われた下着を身につける
貴方以外に抱かれるために

しあわせはクリーム色した甘い味なので
糖分とりすぎ注意

ふたりには戻れないから
昼下がり 波打ち際をひとりで歩く

スカートのすそをゆらした
遠い日の僕らおそらく春風だった

雨降りの曖昧模糊たる昼さがり
巻き戻し見た映画のような

期限切れの恋を咀嚼する 誰もいない朝食 君は幻

同じ傷ついてたら嬉しいだとか
思うのは少し悪趣味かな

運命を信じていれば僕たちは
季節みたいに出会えるはずだ

移りゆく季節さながら
生き延びた先の春にて再会しよう

梅雨だって春夏秋冬四季の中
いれてもいいと思うけどどう?

ねむたげな君の手を引き見た海の
青さがきっと青春の色

地中海あたりに住みたい 白い街
黒い猫 わたし 君で暮らす

停滞しているの君もわたしもね
前、後ろ、前、ゆらりゆられて

「何食わぬ顔しないでよ、畳のあとがついてるわ」
「えっ嘘」
「嘘よ」

つづきのつづきの続きをセーブする
貴方のためにしおりを贈る

 

 

 

目を通して頂き誠に有難うございます

また、何処かで。

 

special thanks: なっと