星になり損ねて今世は仕方なく貴方の隣に人として居る

じんわりじっとりした夜に 肩を並べるn回目 並んでお酒を飲んだって 並んで歌って話しても その距離、永遠!と観測されました 断片的星座のごとく交わされる言葉 宇宙に散らばった残骸みたいな会話 ”居心地悪そう”の解を求めて 本屋にはびこるお化けになる日…

#tanka2

住む予定のないアパート見たりしてそこでの春に想いを馳せる。生きたくも死にたくもなるぬるい夜これこそが春わたしの好きな死なずして貴方の記憶に留まれるのであればどれ程よかったかもう二度と会えない距離でいたかった会えば捨てそびれる恋心吸い殻の消…

世界詩

何もかもを理解する日は来ない 雨が降ったり晴れたりして 音楽が生まれては消えていく 記憶はいくつものエトセトラ 結びつかなければゼロに等しい 百年後、僕らはもうこの世界にはいない 永遠なんてないから愛しい僕らの命 美しい何もかもは消えてゆくから美…

五十音の別れの詩

会いたくて会えないままで眠れずに 幾度となく寝返りする 後ろめたさが包み込み エンドロールは終わらない おかしくって笑っちゃう 雷さまがご登場 気分屋だから気をつけて クラスメイトのざわめきも 結構遠くに聞こえるな このまま消えてしまうかも さかな…

天国で待ち合わせ

さみしさを世界中から集めたらきっと素敵な花束ができる でもさみしさのない世界なんて超退屈だからやめよ 陽気な貴方は夏なので冬に生きる君は美しい いつも見えてるわたしがわたしだと思ったら大間違いです 隙間の時間も大切になんて言うから丁寧に暇を潰…

ご機嫌日記

待ち合わせは結局一時間半遅れ 電車の中で飲んでいたカフェラテが こぼれ て た ぽたり まる 三マス戻って一回休みたい気持ち を、抑えてポケットティッシュを 鞄から取り出して 「女子力高い〜」 なんてふざけた君のセリフがフラッシュバック そんなことよ…

#tanka

唇の色は紅葉か愛情か嘘か、 どれだと君は思う? 売ります! 「冷え込んで吐く息も白む 長夜を過ごす100の方法」 ちょいとそこ、通りがかったお嬢さん 「いしや〜きいも♪」おひとついかが? さみしさに負ける女は好きじゃない けれどさみしくなったらおいで …

師走の詩

真夜中に煙草に火をつける 吐き出した煙がいつまでも白いから、冬 ロマンチックなフィクションがあふれるこの世界 に、ロマンチックは一つもありません わかりやすいものばかり求めては どんどん鈍っていく君はかわいい 煙は貴方の記憶をみせるけど 貴方の世…

十月の詩

温度が数度下がっただけで夏は息をひそめた まだ夏に別れも告げぬまま まだ夏を満喫しないまま まだ夏のせいにしたこと、謝ってないまま 温度が数度下がっただけで、秋 風に散ったオレンジの香り 季節の変わり目に心が動かなくなったから大人 大人になんてな…

忘れ物

いっそ関わりなんてない方がよかった 一点の交わりもない完璧な平行線上 僕らはいつも何かにとらわれていて 形のない正解を当てようと躍起になっている 手さぐりでたどるぼやけた輪郭は 次の瞬間には形を変えて いつまでも終わらないかけっこ ▽つづきのつづ…

一人遊び

「飛び跳ねる雨粒みたいな 君の笑い声が好き」 という君が好き 好きは目に見えないから 透明に違いないわと予想する深夜 透明になったつもりでビニル傘越しに 貴方をこっそり見つめる 拝啓 雨の神様 風邪などひかぬよう 傘を贈ります 敬具 風邪をひいたので…

絵空事

小さなバッグにリップをしのばせて お気に入りのワンピースで、 真夜中の海が見たかっただけ そう言ったら君はなんて言うかな きっと興味のなさそうな 笑顔を見せてくれるんだろうな 真夜中の海に取り憑かれたように わたしの頭にはさざ波が寄せては返す 海…

東京

一、東京 東京に来てからもうまる二年が経とうとしている 地元広島よりもはやいスピードで走る山手線、 慣れない構内アナウンス「JR東日本」、 たくさんの人が行き交う渋谷のスクランブル交差点、 恐れていた新宿での待ち合わせ、 あふれているおしゃれなカ…

断片日記

『この雑誌ください』 本屋ではなくコンビニで雑誌を買うのは二回目で いつもプリンとかスナック菓子を買ってるから 雑誌を買うのはちょっと変な感じだった 裏側に向けて置いた時、裏表紙が好きだと思った * * * 五分に一回は液晶画面を見ている 無言の圧…

下手くそな愛し方

わるいことなんてひとつもしてないけど いいことも同じくらいしてないから 毎日おばけみたいな顔で息をしている 眠たげな眼差しと黒髪ロングでアンニュイを演出 嫌いなあの子を好きなわたしの好きな貴方が嫌いです 「はやく何処かへ消えてよごめん嘘」 君に…

愛を込めて

文庫本の隙間に潜む懐かしい匂いの存在に気づいた時、 大丈夫、君の体はまだ呼吸をしているよ。 言葉をたどる行為は世界から切り離される行為、 いいや、君が世界から離れる行為だ。 ペトリコール。雨降りの街の匂い。 同じ空間にいても同じ感情を共有するか…

朝食について

お題「朝ごはん」 一緒に暮らすなら、 おいしい朝ごはんを作ってくれる人がいい。 贅沢な暮らしをしたいと思う。 それは駅近の綺麗で広いマンションに住みたいとか、ブランドものを日常的に使いたいとか、毎日着ても着足りないくらいたくさんの流行りの服に…

夏の風景

のたりとした夜の空気 街灯に照らされる夜道 車道と歩道を分ける白線の上 水滴がつたう左手の缶ビール ぽたり、ポツリ、つぅー 現代版ヘンゼルとグレーテル はじまり、はじまり〜 深夜零時、瞬間1.2倍速する秒針 カチカチ カチカチ 迎えに来て欲しい私シンデ…

最後の日

世界で君と僕だけ生き延びてしまったみたいな夜の街 深海魚みたい するりするり泳ぎ歩く僕ら 海の底から見る月とよく似た 都会のビルの海の底から見る月 真夜中の交差点で乾杯をしようぜ 静寂になったら夜道戻る、戻る、戻る、、、 長いこと息をして、吸収し…

アナウンス

▽流星群 流れ星と衝突する事故発生率が高くなります。 速やかに電気を消し、また本日のベッドでの 宇宙散歩はお控えください。 ▽雨の日 気分が大幅に沈み苛立ちや焦り、 人によっては頭痛の恐れがあります。 鞄の中にチョコレートをお持ちの上、 お気に入り…

呼吸

夏の夜は水の中 静かで、穏やかに横たわる暗闇 無意味になってしまった足元、スニーカー すべては夏のせい 「好きって言って」「嫌いじゃないよ」 深夜2時押せなかった電話のボタン 複雑そうに見えてショートしただけの思考 騙すなんて簡単、大人だもの 「つ…

言葉遊び

東京の月は、夜でも寂しそうだね。 夜の海は、昼間のそれとは別モノ。 昼間、アスファルトにのびるねこ。 雨が降りはじめたアスファルトの匂いがすき。 好きって言葉、重くも軽くもなくてすき。 言葉には程よい質量が備わっているのです。 備えつけの暖炉の…

一行小説

▽重たい水 「嫌い」 毒を飲むような感覚。 思っても、言っても、言わなくても。 ▽蒸発した朝 空が青い。当たり前のことなのに、空が青い、 それだけで足取りが昨日より 100グラムほど軽くなる気がする。 ▽世界の真ん中 午前8時の電車、ぎゅうぎゅうに詰め込…