生きて

 

六月は神様に近い月

雨粒には神様が潜んでいて

誰かの手を引っ張って

そのくせ月はいつだって遠かった

表面をほうきとちりとりで

ちょっとだけいただいて

わたしの爪に塗ったら 

キラキラして可愛くて 

だから生きていけるような気がするけど、どう?

 

可愛かったら大丈夫

売れていたら大丈夫

幸福だったら大丈夫

 

大丈夫なんてこの世界にはまぼろし

like 赤子の手をひねる 

あ、こういう表現も死んでゆく、じゃないや、

殺されて抹消されてゆくんでしたっっけ

 

アイムソーリーとアイスクリームを添えようね

ハーゲンダッツは世界を救う」って 

わたし、割と本気だった

 

人間が消えて、言葉が残って、音が残って、声が残って、

感情と感傷だけが嫌みったらしい憎らしい

 

安っぽい感傷なんて捨ててしまえよ

消費者になんてなりたくなかった 

音だけが世界に響いていていてほしい

そこんとこだけ100年くらい揺らがないよう

頼むよ神様

 

生命の意味が見出せずとも

僕らは生きていかなければならないのだ