夏の風景

 

のたりとした夜の空気

街灯に照らされる夜道

車道と歩道を分ける白線の上

水滴がつたう左手の缶ビール

 

ぽたり、ポツリ、つぅー

 

現代版ヘンゼルとグレーテル

はじまり、はじまり〜

 

 

深夜零時、瞬間1.2倍速する秒針

カチカチ カチカチ

迎えに来て欲しい私シンデレラ

 

「もしもし、今すぐ来て」

 

 

あなたが好きだと言ったから 

受け入れた現実が蝕んでいく

その様、まるで毒林檎

白雪姫は王子様のキスで目覚めるけれど 

貴方は王子様じゃないから

何度キスしてみたところ、で

 

「目覚めることはできません」

「夏のせいだよ」

 

 

罪ばかり押し付けられていく夏

大セール、休暇のための言い訳100

不幸な顔してる暇があったら

美味しいものを食べて寝るに限ります

 

「君って楽しそうだよね」

「そう見える?それはよかった」

 

ご機嫌に生きることこそ僕らの使命

 

 

夏休みのスピードは打ち上げ花火

うすらぼんやり残る残骸

朝焼けと夕焼け、同じ温度

昼過ぎの教室内は外よりくらい

窓枠がシャッターを切る入道雲

青と白のコントラストが綺麗です

近くて遠くて、

「誰も見てない今のうち」

 

君の隣で息をする五時間目

好きな一文を書きぬいたルーズリーフ

毎日渡すね数学の時間

鮮明に思い出すたび不鮮明になる思い出

 

「それって告白?」

「だとしたらどうしますか?」

 

 

愛を語る方法を、僕らは探している

 

 

 

「愛しています」 

 

「真偽のほどはいかほどに」

 

「貴方に珈琲を淹れる手間を惜しみません」