AとBと君と僕

 

いつまでも途切れることのない

ずれたエイトビート

さながら僕たちの象徴

テンポキープが得意だった

いつまでも交わらず重ならず

追い越さず追い越されず

美しいメロディが隣で駆け抜ける

競争を、していたのはいつだっけ

形容しがたい感情が

言葉にならずに消えたとき

メロディは高らかに歌ってくれて

それでもとりこぼされてゆく

指先を滑り落ちてゆくときの

なんという美しさ、次の瞬間には霧散して

後には何も残らないその清々しさときたら!

言葉を尽くしても花束にしても

吐き出しても飲み込んでも無意味だった

少なくとも僕と君の間においては

僕らをつなぐものが言葉以外にある世界に

生まれなくてよかったと心底思う夜

交わらず重ならないずれたビートが

愛しいと思うよ、嘘じゃないよ。