師走の詩

 

真夜中に煙草に火をつける

 

吐き出した煙がいつまでも白いから、冬

 

ロマンチックなフィクションがあふれるこの世界

 

に、ロマンチックは一つもありません

 

わかりやすいものばかり求めては

 

どんどん鈍っていく君はかわいい

 

煙は貴方の記憶をみせるけど

 

貴方の世界にわたしはいない

 

いっそ亡霊にでもなったら諦めもつくかしら

 

楽しそうな貴方の隣で息を潜めて

 

あれ、

 

すでに亡霊みたいだね?

 

言葉を交わしあっても意味はないよ知ってる

 

ないものねだりばかりだから

 

いつまでもいい子になれない

 

いい子にならなきゃサンタさんはこないので

 

クリスマスはかなしいなあ

 

欲しいものはないけれど

 

「しいて言うなら君かな」

 

なんて挑戦的なセリフ

 

言えないから可愛いでしょ?ほめて

 

甘やかされて綿菓子みたいな空間で

 

生きていけたらなあ

 

鳥になったらハッピーに飛べますか

 

僕らはいつでもハッピーを探しているわけだけれど

 

「見つけた?」「まだだよ」

「あっちには?」「なかったねえ」

 

情報交換と洒落込んでお酒でも飲んだら

 

実はこの時間がハッピーなんだなあなんて

 

もしかして君大人になりました?

 

大人になったらどこにもいけないのよ

 

ネバーランドには二度と立ち入ることができません

 

 寂しさを集めてオレンジに染まる夕日

 

たいして綺麗でもないけど

 

「月が綺麗ですね」

 

恥じらい乙女は今夜も歩くほかないのです

 

ゆるりゆらりと気づいたら

 

年の瀬に近づいてまいりました

 

あっ 真夜中、朝に溶けちゃった

 

おはようございます

 

朝のリレーはいつも目撃することなく足元に

 

夜は夏が好きで朝は冬が好き

 

おそろいの好きを抱きしめて

 

本年もお世話になりました。