最後の日

 

世界で君と僕だけ生き延びてしまったみたいな夜の街 

深海魚みたい するりするり泳ぎ歩く僕ら

海の底から見る月とよく似た

都会のビルの海の底から見る月

真夜中の交差点で乾杯をしようぜ

静寂になったら夜道戻る、戻る、戻る、、、 

 

 

長いこと息をして、吸収して、溶け込んで、

昨日より世界に馴染んでいるはずの今日のわたし

居心地が悪くて眠れずに何度も寝返りを打っては

薄青の朝を迎えるまぶたの向こう側

 

 

なんでも知ってるよ世界

誰もが神様みたいな錯覚、錯覚、錯覚

知ってるものばかり増えているはずなのに

知らないものばかり足元にまとわりつく

声だけが矢の如く駆け抜ける誰もいない昼下がり

みんな幽霊になって半透明に揺らいでいる

僕の「助けて」も 君の「愛してる」も

勇気を出した「ごめんね」も

息を潜めてしんとした 元からいない顔をして

 

 

君にはどうしても

「バイバイ」でも「またね」でもなく

「さよなら」を言いたい

 

永遠に六月がよかったけれど、左様ならば仕方ない