絵空事

小さなバッグにリップをしのばせて お気に入りのワンピースで、 真夜中の海が見たかっただけ そう言ったら君はなんて言うかな きっと興味のなさそうな 笑顔を見せてくれるんだろうな 真夜中の海に取り憑かれたように わたしの頭にはさざ波が寄せては返す 海…

東京

一、東京 東京に来てからもうまる二年が経とうとしている 地元広島よりもはやいスピードで走る山手線、 慣れない構内アナウンス「JR東日本」、 たくさんの人が行き交う渋谷のスクランブル交差点、 恐れていた新宿での待ち合わせ、 あふれているおしゃれなカ…

断片日記

『この雑誌ください』 本屋ではなくコンビニで雑誌を買うのは二回目で いつもプリンとかスナック菓子を買ってるから 雑誌を買うのはちょっと変な感じだった 裏側に向けて置いた時、裏表紙が好きだと思った * * * 五分に一回は液晶画面を見ている 無言の圧…

下手くそな愛し方

わるいことなんてひとつもしてないけど いいことも同じくらいしてないから 毎日おばけみたいな顔で息をしている 眠たげな眼差しと黒髪ロングでアンニュイを演出 嫌いなあの子を好きなわたしの好きな貴方が嫌いです 「はやく何処かへ消えてよごめん嘘」 君に…

愛を込めて

文庫本の隙間に潜む懐かしい匂いの存在に気づいた時、 大丈夫、君の体はまだ呼吸をしているよ。 言葉をたどる行為は世界から切り離される行為、 いいや、君が世界から離れる行為だ。 ペトリコール。雨降りの街の匂い。 同じ空間にいても同じ感情を共有するか…

朝食について

お題「朝ごはん」 一緒に暮らすなら、 おいしい朝ごはんを作ってくれる人がいい。 贅沢な暮らしをしたいと思う。 それは駅近の綺麗で広いマンションに住みたいとか、ブランドものを日常的に使いたいとか、毎日着ても着足りないくらいたくさんの流行りの服に…

夏の風景

のたりとした夜の空気 街灯に照らされる夜道 車道と歩道を分ける白線の上 水滴がつたう左手の缶ビール ぽたり、ポツリ、つぅー 現代版ヘンゼルとグレーテル はじまり、はじまり〜 深夜零時、瞬間1.2倍速する秒針 カチカチ カチカチ 迎えに来て欲しい私シンデ…

最後の日

世界で君と僕だけ生き延びてしまったみたいな夜の街 深海魚みたい するりするり泳ぎ歩く僕ら 海の底から見る月とよく似た 都会のビルの海の底から見る月 真夜中の交差点で乾杯をしようぜ 静寂になったら夜道戻る、戻る、戻る、、、 長いこと息をして、吸収し…

アナウンス

▽流星群 流れ星と衝突する事故発生率が高くなります。 速やかに電気を消し、また本日のベッドでの 宇宙散歩はお控えください。 ▽雨の日 気分が大幅に沈み苛立ちや焦り、 人によっては頭痛の恐れがあります。 鞄の中にチョコレートをお持ちの上、 お気に入り…

呼吸

夏の夜は水の中 静かで、穏やかに横たわる暗闇 無意味になってしまった足元、スニーカー すべては夏のせい 「好きって言って」「嫌いじゃないよ」 深夜2時押せなかった電話のボタン 複雑そうに見えてショートしただけの思考 騙すなんて簡単、大人だもの 「つ…

言葉遊び

東京の月は、夜でも寂しそうだね。 夜の海は、昼間のそれとは別モノ。 昼間、アスファルトにのびるねこ。 雨が降りはじめたアスファルトの匂いがすき。 好きって言葉、重くも軽くもなくてすき。 言葉には程よい質量が備わっているのです。 備えつけの暖炉の…

一行小説

▽重たい水 「嫌い」 毒を飲むような感覚。 思っても、言っても、言わなくても。 ▽蒸発した朝 空が青い。当たり前のことなのに、空が青い、 それだけで足取りが昨日より 100グラムほど軽くなる気がする。 ▽世界の真ん中 午前8時の電車、ぎゅうぎゅうに詰め込…