生きて

 

六月は神様に近い月

雨粒には神様が潜んでいて

誰かの手を引っ張って

そのくせ月はいつだって遠かった

表面をほうきとちりとりで

ちょっとだけいただいて

わたしの爪に塗ったら 

キラキラして可愛くて 

だから生きていけるような気がするけど、どう?

 

可愛かったら大丈夫

売れていたら大丈夫

幸福だったら大丈夫

 

大丈夫なんてこの世界にはまぼろし

like 赤子の手をひねる 

あ、こういう表現も死んでゆく、じゃないや、

殺されて抹消されてゆくんでしたっっけ

 

アイムソーリーとアイスクリームを添えようね

ハーゲンダッツは世界を救う」って 

わたし、割と本気だった

 

人間が消えて、言葉が残って、音が残って、声が残って、

感情と感傷だけが嫌みったらしい憎らしい

 

安っぽい感傷なんて捨ててしまえよ

消費者になんてなりたくなかった 

音だけが世界に響いていていてほしい

そこんとこだけ100年くらい揺らがないよう

頼むよ神様

 

生命の意味が見出せずとも

僕らは生きていかなければならないのだ

 

断片破片

 

痛いくらいの冷気が人間を殺していく。冬。何度もリピートする世界のプレイリストは美しくて隙がない。神様も信じちゃうくらいの、だ。かくいうわけで冬が今年も繰り返されている訳だけど、君はいまどこを生きていますか。ネイルのはげかけた爪の色がピンクで安心している。君の血はきっと綺麗な赤だよ。遠い昔からある花に名前をつけたら笑ってくれるのが君で、笑わないのが神さま。

 

さよなら、とかごめんね、とかどうでもいい言葉ばかりがたゆたっているせいで言いたいことなんか一つも存在の余地がなかった。iPhone一つには世界が詰まっているように見えるじゃん、あれ、嘘だから。僕らの容量はiPhoneに喰われてるのよ、データ削除しないと、新しい写真は取る事ができません。よくわからないヨーグルトみたいな頭に砂糖と塩間違えて入れてしまうような人生。嫌いな人間が多すぎて人間が嫌いだ、わたしは来世ねこになります。地球。

 

地球という惑星はおもちゃ箱、周りの星は神さまが遊んだ後そのまま出しっぱなしにしたせいで、太陽が全部しまおうとしているけれど、神さまが愛したのはおそらく月。鉄板の上でじゅうじゅうと音を立てる丸いたこ焼きにエールを送る夜、もう1人のわたしは笑っていたしばかにしていたし一番かわいそうなのは月とたこ焼きだった。同情申し上げます。

 

破裂寸前の、もしくは風前の灯なので大事にされたいです、わたし。散らかった宇宙ステーションでダンスでもどうですか。エイリアンを愛することは多分無理だけど、愛について話してみるくらいはできるよきっと。コーヒー、紅茶、お茶、わたしのうちにくれば素敵なおもてなしをしてあげる。ねえ、君って眠い時口が悪くなるんだけど気づいてる?仮面、落ちてますよー。

 

 

閑話休題
恋って何それ美味しいの。
クボタカイしか勝たん。
女子力高くて君は最高。
言葉はいつだって幸福だ。
それを扱う僕ら次第。
不幸を主張するときは器が良くないんだよねえ。
『宇宙と繋がる!』 

 

 

エンドがハッピーであれといつまでも願っているけれどエンドなんて永遠にこなかった。終わりの見えないエンドロールに退屈すぎて死ぬ手前。面白い話してよ。笑う振りばかりしていたら笑い方を忘れてしまった、落し物、届いていませんか。疲れた顔で笑い合うのが美德だというならそいつはマゾだからスワイプして無視。うるせえ静かにしてくれよ。と言ったところでノープロブレムだから君は安心して海へ向かってくれ。

 

風。風と雨が轟々と音を立てているからとりあえずノリに乗っとくか。テキーラいただきました〜!遠い砂漠のサボテンに、心の中で愛を捧げるといいらしいよ。やってみたけど喉は熱くて愛は溶けた。

 

 

十二月二十五日

 

エトセトラとエトセトラ

人間の頭がどんどん冷やされて

反比例して過剰に生きてゆく僕ら

キラキラを身に纏っているだけで

幸福をかみしめていたはずなのに

隣で、隣の隣で、

流れ星か怪盗にでもなっている気分

恋人とか友達とかは幻覚あるいはまぼろし

確かなのはわたしの痛みを訴える

ヒールの中のつま先だけだった

足音が街に響いているから

「わたし此処にいます」

 

真夜中の都会は意外と生きているのに

朝一番最寄りのホームは死んでいる

朝を選ぶだなんてセンスがありますね

 

もう二度と、生きていけないような感覚

今年の冬こそ死を覚悟している

同じ歌も同じ詩も同じ時も存在しないから冬。

 

 

冬に神様が生まれたからわたしの命は動揺する

生誕祭を執り行いサクッと死なないようにいよう

僕ら幸福の先で待ち合わせしようね

メリークリスマス

 

AとBと君と僕

 

いつまでも途切れることのない

ずれたエイトビート

さながら僕たちの象徴

テンポキープが得意だった

いつまでも交わらず重ならず

追い越さず追い越されず

美しいメロディが隣で駆け抜ける

競争を、していたのはいつだっけ

形容しがたい感情が

言葉にならずに消えたとき

メロディは高らかに歌ってくれて

それでもとりこぼされてゆく

指先を滑り落ちてゆくときの

なんという美しさ、次の瞬間には霧散して

後には何も残らないその清々しさときたら!

言葉を尽くしても花束にしても

吐き出しても飲み込んでも無意味だった

少なくとも僕と君の間においては

僕らをつなぐものが言葉以外にある世界に

生まれなくてよかったと心底思う夜

交わらず重ならないずれたビートが

愛しいと思うよ、嘘じゃないよ。

 

 

 

 

慎重に塗った爪などつゆ知らず午前三時に指を絡める

 

君が流れ星を探して夜空を眺めるとき

 

僕は暗がりに溶けるつま先ばかり見ていた

 

慎重に塗った指先の色は赤

 

自分のための赤が君のための赤に変わるとき

 

僕の足元は海月とともにたゆたっている

 

そんなことにも気づかない君に

 

繋いでほしいのは指じゃなくてからだだった

 

存在が不確かだからハイヒールと月面でステップを

 

その瞬間だけが僕を人間たらしめていた

 

人間かどうかわからない僕の隣で

 

隣にいるのかもよくわからない僕をおいて

 

君の心は宇宙に在る

 

月面に取り残されて一人ぼっちの僕を

 

流れ星が追い抜いていく

 

午前三時は、ひどく静かだ 

 

 

 

 

惰性

義務感のみで水を飲む時、人間は一時停止。

煙草なんてあってもなくてもよかった。

酸素を吸うついで。その時君のことは一ミリも

頭をよぎることがないからどうか安心してほしい。

 

余計な言葉をいくつ交わしたところで

僕も君も交わらないのなんて百も承知だった。

どうしてと聞かれたら困るけど、惰性だよ。

 

沈黙に言葉を浮かべていると君は安心して

その度にわたしは不安になる。

「安」の応酬

ビジネスパートナー:フレンズ

大事にされなかった言葉たちが

投げられては足元に散らばる。

昼と夜と朝のこと、わたしはまだ許してなんかないのに。

許し。許しを請うのはわたしの方だったのかも

しれないよね、本当は。

許し合えなくてどこにも行けなかった。

 

水も煙草も酸素も呼吸も、会話でさえも

これからもきっと惰性で続いてゆくのね。 

 

 

せいかつの祈り

 

冬の記憶が鼻先を掠めたから冬

君のことばかり考えているふりばかり、冬

 

強力なお守りは言葉


 君のカナリヤになりたくて

なれなかった僕だけど

心の臓まで貫いて

どうか離さないでいてほしい

「生きていてもいいよ」って

何度も舌の上で転がしたっけ

いつまでもなくならないから

君の嫌いなミント味でも必要

「当方差し迫っております」

ゆるしてほしい、いつまでも

死ぬ瞬間までゆるしておくれ

カナリヤになれなくて

猫にも美少年にもなれない僕を

 

 

願ってばかり、朝までは

夜の消滅がひたひたと忍び寄る

音を消してもわかってしまうよ

何と言っても察しの良い女ですので

iPhoneの明かりに夜が溶けて

美しいと、形容するのは無粋かな

雨の音が窓に遮断される有能さに

嫌気がさしてくるよ、全く

 

せいかつ

やさしい日々と音楽と言葉と君と

ぼくのこと

幸福であればいいと祈りを捧げる、冬